ChatGPTは何者か!?
はじめ方や実際のチャット・活用リスクまで紹介 AI時代になくなる仕事とは

働き方

2022年11月に公開され、2ヶ月で2億ユーザーを突破。瞬く間に世界を席巻したのが、生成系AI「ChatGPT」です。しかし、ある調査によると日本で使用経験のある人は約2割にとどまるという結果も…。今回は、ChatGPTの始め方や、実際のチャットのやりとり。活用メリット・デメリットや、ChatGPTなど生成系AIの台頭で「なくなる仕事」「残る仕事」について解説します。

ChatGPTとは何か

昨今、話題になっている「ChatGPT」。言葉は知っているけれど、詳しくは知らない…という方も多いのではないでしょうか?まず、ChatGPTとは何かについてご紹介します。

ChatGPTとは

そもそもChatGPTとは、米国で人工知能の開発を手掛けるOpenAI社が2022年11月に公開したもの。そこからわずか2ヶ月間で、ユーザーが2億人を突破し、世界を席巻しています。

ChatGPTは、人と人が対話するように「自然な会話」が可能なAIチャットツール。それまでの常識を越える、詳細で高度な回答を得ることができます。

日本でどのくらい使われているか

簡単に始められるChatGPTですが、近年ニュースになっているのは企業や自治体で「ChatGPTの使用を禁止する」との声。実際に、日本ではどの程度使用されているのでしょうか。

日経クロストレンドが2023年5月に発表した調査では、「ChatGPTを認知している」という人に、使用経験を聞いたところ、

◎使っている…12.9%

◎使ったことはあるが、現在は使っていない…8.1%

◎一度も使ったことがない…79.0%

という結果となりました。また、使用経験がある人の中で「業務上」使用した事がある人は、33.6%にとどまっています。これだけ話題になっているにも関わらず、使っている・使った経験のあるという人が約2割しかいないというのは、驚きです。

【出典】ChatGPT、2万人独自調査 「AIが7割の仕事奪う」有料ユーザー回答/日経XTREND

ChatGPTを始めるには

株式会社BizPadoの調査では「ChatGPTの使用経験が無い」という人のうち、25%が「使い方が分からない」と回答しています。ここでは、ChatGPTの始め方についてご紹介します。

ChatGPTには、Web版、iOS向けアプリ版(5月26日公開)が存在します。メールアドレスなどを入力してメール認証を行い、その後名前や電話番号を入力し、電話番号で認証が完了すればアカウントが作成できます。他にも、「Googleアカウント」「Microsoftアカウント」でのアカウント作成も可能です。

ChatGPT公式サイト

ChatGPT公式アプリ ※iOS用

日本語版のサイトはありませんので、あらかじめブラウザを日本語設定にするなどして利用するとスムーズです。質問や回答は、日本語に対応しています。

ChatGPTには、無料版と有料版があります。有料版「ChatGPT Plus」は月額$20で、公開されたばかりの大規模言語モデル「GPT-4」を利用できるだけでなく、サーバーへの接続が安定していたり、無料版よりも応答のスピードが速かったりと、日常的に活用する人にとってはメリットが大きそうです。

【出典】ChatGPTを使ったことがある人は30%!使わない理由1位は活用方法がわからない/BizOato

ChatGPTを使ってみた

それでは、ChatGPTがどの程度「会話のような」やりとりができるのか見ていきましょう。

今回は業務で使用するケースを想定し、総務部で「夏季休暇の取得」について周知のメールを送りたい、という設定でやりとりしてみました。結果、以下のような回答が得られました。

簡単に目的と内容を伝えただけで、「注意事項」まで記載された周知メールが完成しました。これをたたき台として使用すれば、ゼロから文面を作成する場合と比べて、かなりの時間短縮になりそうです。

ChatGPTを活用するメリット

ChatGPTを活用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。そもそもChatGPTは、以下のような用途で使用される事が多いようです。

◎高度な調べ物

◎メールや挨拶文などの文章作成

◎表計算、関数の作成

◎プログラムを組む(コードの生成)

◎作成した文章のチェック、翻訳

その上で、

◎業務効率化が実現できる

◎新たなアイデアや情報を収集できる

などのメリットがあると言えます。文章作成、調べ物、関数、プログラミングなど、人間が行うと時間を取られてしまうようなことを、一瞬で終わらせてくれるためです。

また、現在課題に感じていることや、将来取り組みたいことに向けてアイデアを収集することもできます。実際に、「社員の残業を減らすためのアイデアをください」と質問したところ、以下のような回答が得られました。

長時間労働を解決するための具体的な施策だけでなく「従業員やチームの声を聞きながら」など、進める上でのアドバイスまで記載されています。

ChatGPTの活用リスク

これだけ高度な回答を得られるChatGPTですが、いくつかのリスクも存在しています。

情報の正確性に疑問が残る

ChatGPTの回答には、その情報の出典などのソースが書かれておらず、信憑性が低い、ファクトチェックの必要があるなどの声も挙がっています。

最新の情報ではない可能性がある

ChatGPTは、2021年9月までの情報しか持っていないと言われています。実際に「現在の総理大臣は」と質問すると「私の知識は2021年9月までの情報しか持っていないため、現在の総理大臣については把握していません。最新の情報を確認するには、ニュースや信頼性のある情報源を参照してください。」と回答されます。

情報漏洩リスクがある

ChatGPTの利用規約には「入力した情報がChatGPTの学習データとして使用される」という趣旨の記述があります。実際に、アメリカではChatGPTの回答に、大手企業の機密情報が含まれている事が発見され、その後その企業内で使用が禁止されたというニュースもあります。

「ChatGPTの使用を禁止」する例は、増えています。世界では、Apple社、Amazon、アクセンチュアなど多くの企業で業務上の利用を禁止。日本でもドコモの「使用を認めていない」など、多くの企業で積極活用を推奨していないようです。

2022年末に公開されたばかりのChatGPT。業務効率化に繋がる画期的なツールではあるものの、リスク面も大きく、手放しで導入することができないという現状がありそうです。

AIの台頭で、なくなる仕事・残る仕事

ChatGPTなどの生成系AIが台頭し、今後も進化を続けていくでしょう。セキュリティレベルも向上し、安心して活用できる時代も、そう遠くはないはずです。そうなると、業務上でこれらのAIが活躍するケースが増え、それによって失われる職業も出てくるでしょう。

なくなる可能性のある仕事

実際に、AIに奪われる可能性の高い仕事として、以下のような職業が挙げられます。

◎事務職

◎カスタマーサポート

◎銀行員

◎スーパーの店員

◎ホテルのフロント業務 など

これらのように、ルーティン作業が多いものに関しては、むしろAIの方が得意であり、環境さえ整えばすぐに代替されてしまう可能性があると言われています。

残る仕事

一方で、AIに代わりのできない仕事として、

◎教師

◎弁護士

◎医師・介護・医療職

◎コンサルタント

◎ITエンジニア など

が挙げられます。これらのように、臨機応変に状況に応じた対応が必要であったり、複雑な判断が必要だったりする仕事は、AIに向きません。また、医療や介護、そして教育のように、人と人とのつながりが重視される仕事や、一人ひとりに合わせた対応が求められる仕事においても、AIはサポート的な役割に終始するでしょう。

実は、筆者のような「ライター業」もAIに代行できる職業だと言われています。ChatGPTはセキュリティ面でまだ不安があるものの、将来的には、インタビュー等の音声を読み込ませ、ある程度の「構成」を指示すれば「たたき台」となる記事ができるのではないか…と思っています。
そうなると、その記事をいかに読者の人に読んでもらえるものにするか、という「編集」や「マーケティング」などの知識やスキルが必要になってくると考えられます。

AIが、より高度な作業をこなせるようになる時代。今一度、自分の仕事とその未来、そしてAIの存在が当たり前となった世界で、自分には何ができるのかを考え直す必要があるように感じました。

【おわりに】AIとうまく付き合っていく方法を考える

いかがでしたか?これだけ詳細で高度な回答を、瞬時に返すことができるChatGPT。一方で、個人でも法人でも、さほど活用が進んでいないようにも感じます。岡山県のベネッセホールディングスでは「自社専用ChatGPT」を開発し、2023年5月に全社で解禁しています。社内AIであれば、情報漏洩のリスクを軽減することができるため、その積極活用によって生産性向上や新たなビジネスの創出に繋げたいそうです。

今後のAI時代に到来に向けて、闇雲に「禁止」「使わない」という判断をするのではなく、どうやってうまくAIと付き合っていくのかを、検討すべき時期に来ているのかも知れません。

この記事を書いたひと

三神早耶(みかみさや)

大学卒業後、広告代理店に入社。企画営業と制作進行管理を兼務。その後、出版社でコンサルティング営業、国立大学でeラーニングツールの運営や広報サポートなどを担当し、2016年よりフリーライターに。経営者向けウェブメディア等で、経営者インタビュー、組織改革、DXなどについて取材・執筆。