テレワークで成果を挙げるには「セルフマネジメント」のスキルが必須です。テレワークが定着する企業が増える中、「オフィス勤務と比べて効率が下がった」「業務に集中できず、進捗が遅れてしまう」という声を聞くようになりました。
テレワークで、より生産性をあげるために必要なセルフマネジメントを身につける方法をご紹介します。
テレワーク勤務では特に意識したい「セルフマネジメント」とは
まずは、セルフマネジメントの意味や定義、さらにテレワークで必要とされる理由について解説します。
仕事を予定通りに効率よく進めらる「セルフマネジメント」とは
セルフマネジメントという言葉は、「自己管理」や「自立」という意味を持ちます。
自己管理と言ってしまえばざっくりとした印象ですが、詳しくはメンタルや体調といった自分の状態の把握・コントロールに加え、スケジューリングや日々の活動内容などをより良い状態にさせるように、総合的に自分を管理することです。
セルフマネジメント能力が高い方は、自分の状態やタスクを俯瞰的に把握し調整を行うことに長けているため、仕事を予定通りに効率よく進められます。いかなる状況でも物事に優先順位をつけ、感情や体調、モチベーションを上手くコントロールしながら業務を遂行できる方は、自己管理する能力に優れています。
一方で、仕事の優先順位をつけるのが下手な方や体調を崩しがちな方は、セルフマネジメント能力が低いと言えます。
企業においては、社員一人一人がセルフマネジメントの意識を高めることで、全体の生産性がアップするのは間違いありません。昨今ではテレワークが定着しつつあり、自宅などの他人の目の行き届きにくい環境で働く方が増えました。それにより、企業でもセルフマネジメントへの注目度が高まっています。
出社勤務以上にセルフマネジメント力が問われるテレワーク
上司や同僚の目がないテレワーク、とりわけ在宅勤務では、セルフマネジメント能力が低いと効率良く業務を遂行できません。
自宅でテレワークを行う際、集中力が続かなかったり、逆に仕事にのめり込みすぎて時間を忘れてしまったりすることはありませんか?
自宅は、TVやPC、本、食料、昼寝ができるベッドといった、ありとあらゆる誘惑にあふれています。
人目がないため「少しだけ…」と思いながらも、気づけば仕事と関係ないことに時間を費やしてしまった経験は一度や二度ではないという声も聞こえてきます。
また、終わらなかった仕事を業務時間外の夜中や週末に行うなど、時間管理ができず生活リズムが乱れてしまう頑張りすぎタイプの方も見受けられます。
自分のペースで仕事ができる環境が手に入るのと同時に、自己管理がおろそかになってしまいやすいのがテレワークのデメリットと言えます。
出社時と比べてあまりにも業務の進捗が遅い、あるいは成果物の品質が低いと信用を落としかねません。テレワークで在宅勤務をしている方こそ、積極的にセルフマネジメント能力を高め、成果物の品質を高める必要があります。
テレワークの生産性を上げるには?今日から取り入れたい、自己管理方法の具体例
適切な方法さえわかれば、誰でもセルフマネジメントのスキルを上げられます。すぐに実践できる具体的な方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
具体的な目標を立て、スケジュールへ落とし込む
セルフマネジメント能力の高い方は、適切な目標を設定し、それを行動に落とし込むのが得意です。目標は「業績を上げたい」といった漠然としたものでは不十分です。
自分にとって業績を上げるとは、どの程度の成果を上げることなのかを明確にするところからスタートしましょう。
例えば「半期の売り上げ〇〇万円を達成する」が目標であれば、次はそれを実現するための行動を洗い出し、日々のToDoにまで落とし込んでください。
半期で目標金額を売り上げるために月、週、日割りの目標を定め、それを達成するためのアクションまではっきりと決めるのがコツです。
ただ漠然と目標を追いかけるよりも「今日はこれをする」というやるべき行動を明らかにすれば、あとはシンプルに実行するだけで達成へと近づきます。人の目がないなら、自分で自分との約束を決めれば良いという理論です。
この方法は、数字目標がない仕事にも適用できます。例えば期日までに終わらせるべき業務がある場合、タスクを細分化し、1日にここまでやるという範囲を設定します。
最終期限よりも早めに終わるようペース配分をすれば「テレワークにも関わらず効率的に業務を進めている」と高評価を得られるでしょう。
タスク管理ツールを活用し、自分やメンバーの「やるべき業務」を可視化・共有する
目標やそれに対してのアクションが決まれば、それをタスク管理ツールに入力しましょう。例えば「Googleカレンダー」や「Teams」など、社内に導入されているものを使うのがおすすめです。
タスクを可視化して周囲と共有すれば、自然と「やらなければならない」というプレッシャーを自分自身に与えられます。
さらに、今どんな業務に取り組んでいるのかが明らかになれば、マネジメントをする上司が現状を把握しやすく、何か問題が発生したときにもすぐに対処しやすくなるでしょう。。
もしあなたが部下を管理する立場であれば、ぜひチームメンバーに目標設定と日々のタスク入力を促してください。メンバー同士の進捗がお互いに把握できる状況は、全体の業務効率アップにもつながります。
厳密なタイムマネジメントより、「オンとオフ」のメリハリが大切
テレワークの環境下で、会社とまったく同じようなスタイルで業務をこなすのは難しいでしょう。自宅ならではのメリットを活かし、集中とリラックスのメリハリをつけることを心がけてください。
集中力が高まっているときは精力的に業務をこなし、適切なタイミングで息抜きの時間を作るのが大事です。分刻みで精密なスケジュールを立ててそれをきっちり守るよりも、その日のタスクを効率よくこなすことを優先すると、はかどります。
思ったより効率が上がらない、トラブルが起こるなどの状況を想定し、時間に余裕を持たせ、1日でこなせる目一杯の量を予定に入れないように注意してタスクを設定するのがおすすめです。
予定通りにスケジュールを遂行できれば、余裕ができた時間はリフレッシュに充てたり業務を前倒したりして自由に使いましょう。
集中とリラックスのメリハリをつけたい方は「ポモドーロテクニック」を取り入れるのがおすすめです。
ポモドーロテクニックとは、25分間集中してタスクを遂行し、5分の休憩を入れるまでを1セットとし、これを4回繰り返したら20分以上のリフレッシュタイムを設けるというメソッドです。
時計を確認する時間を省略するため、タイマーを使用しましょう。作業を時間で区切るので、適切なタイミングで作業と休憩の繰り返しができ、非常に効率的です。
また、自分がどの作業にどれだけの時間を費やしているのかを把握できれば「時間がかかりすぎている作業」「効率よくできている作業」の仕分けが可能となり、より適切なスケジュールを組みやすくなります。
そのために、タイムトラッキングツールを活用するのも一つの方法です。「Toggl」や「Harvest」、「Clock It!」に代表される、作業にかかった時間を可視化できるサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
「できないこと」を明確にしよう
セルフマネジメントによって効率良く仕事をするために、自分の限界値を知っておく必要があります。知識や能力とミスマッチな業務や、時間がなく、引き受けるとキャパシティを超えてしまう業務は断る勇気を持ちましょう。
「できない」と伝えるのは気が引けるかもしれませんが、理由を明確にしたうえで「ここまでならできる」などのガイドラインを示すのも手です。
企業の生産性を上げるためには、適材適所でそれぞれが「できること」に集中するのが望ましいでしょう。
心を安定させて集中力を高める「マインドフルネス」を試してみるのもおすすめ
在宅で働くにあたり、どうしても気持ちが浮ついてしまう方や、ストレスを溜めやすくメンタルが安定しない方は「マインドフルネス」を試してみてください。
昨今注目されているマインドフルネスとは、「今この瞬間」に意識を集中し、自身の状態を俯瞰的に認識する方法です。実践することで安心感を得られ、集中力アップやストレス軽減などの効果が期待できます。
マインドフルネス瞑想の簡単な手順をご紹介します。まずは、姿勢を楽にして呼吸を整えます。鼻から吸って吐く呼吸をゆっくりと繰り返しましょう。
息を吸って吐くことに意識をフォーカスしながら、頭に浮かんでくる様々な思考を「ただそこにあるもの」として捉えてください。
嫌なことを思い出したら「仕事での失敗を引きずっているんだ」、嬉しいことが浮かんできたなら「今いい気分になっているな」など、自分の状態をただただ観察します。
呼吸に意識を向けながら、頭にある考えを認識していくという流れを続けましょう。これを習慣化すれば、次第に「今ここ」に集中し、気持ちを安定させられるようになります。
テレワークでは、工夫次第で集中力を高め、より効率的に業務をこなすことができます。オンとオフのけじめをしっかりつけ、やるべきことを明確にして生産性を上げましょう。